男木島「漆の家」での展示

先日、依頼されていた
漆塗りの竹フレーム自転車が完成し、
一番最初の展示として
瀬戸内国際芸術祭の関連施設、
男木島の漆の家で
展示させていただける事になりました。

この自転車は、愛澤ジェルソンさんという
大阪に工房を持つ竹フレームを製作する
作家さんとの合作になります。
フレームは竹・木・合板を
カーボンファイバーとエポキシ樹脂で
固定しており、強度試験にも合格していて、
カーボンとさほど変わらない軽さという
優れもの。

しかし今回は主に走る用途としてではなく、
様々な場所に移動させ、
香川漆芸の技法の一端と漆そのものの質感を
知っていただくためのものになっています。


図案は
日本文化の余白を重んじる価値観への
リスペクトの意図と、漆自体の艶と質感を
感じられるよう余白を作りました。

ただ、近くで見ていただけるように、
蒟醤の繊細さを損なわないようにと
細やかさを意識したのですが、
フレーム単体で作っていた影響でなのか、
組み上げた時に図案が思っていたより少し
小ぢんまり見えてしまったのは反省です😓
もう一台分依頼があるので、
次は想定より少し大きめに
モチーフを配置しようと思います。

赤呂色(赤茶に透けている所)の部分は
竹で出来ています。
竹らしさを損なわないよう
シンプルに塗りました。
赤呂の色にも拘りがあり、
程よい赤みのある鹿田漆さんの
みゆう透漆を使わせていただいています。
ちなみにこちら、乾き具合もいいので
いつも使っているお気に入りの赤呂漆です😊

全体的には、柔らかい印象を持たせるため
地の色は全面黒ではなく、下半分を
チャコールグレーにしています。
もちろん、艶の光が揺らめかないように
下地工程と上塗り前は炭(砥石)研ぎ
していますよ🌿



今回のテーマ「結び/産霊」。
私は以前から、日本古来の文化や
アイデンティティを表現する時に
「結び」のモチーフを
比較的よく用いています。
その言葉の語源となる、
複数の異なるものが組み合わさって
新しいものが出来上がる事を意味する
「産霊」(ムスヒ)。
この日本に根差す神道の考え方が
あるからこそ、「結び」という
言葉や行為が様々な意味を包括し
日本人の文化に根強く浸透してきた
所以であるのだと考えています。
いつも私は
結びを見ると気が引き締まったり
心が整理されたりするので、
表象の力のある重要なモチーフとして
位置付けています。

ちなみに自転車の創作過程と産霊を重ねる
意味でも、このテーマを選んでいます。


さて、8月5日から展示公開されている
自転車。会場は少しばかり暗いので
見えにくいかも知れませんが、
携帯のライトで照らして
みてくれる方もおられるそうで、
何だか嬉しいです。
丁度いい照明を取り付けられたら
良いのですが...
皆様、嬉しいお言葉を下さり
大変励みになります。
自転車は

夏会期:8/5(金)-9/4(日)
秋会期:9/29(木)-11/6(日)

こちらの期間中展示されています。
漆の家自体もとても面白い空間に
なっており、漆芸研究所のスタッフも
常駐していて香川漆芸について
知れる場所なので、他の作品とと共に
ぜひお立ち寄りいただけたら幸いです。




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